それはまるで儚い夢のように

拗らせヅカヲタの戯言

星組『阿弖流為』①

ドラマシティの千秋楽が終わってしまって日々阿弖流為ロスと闘っております、なつんです。

 

初日を観た時は原作と比べてしまうところもあって色々物足りなさとかを感じてしまったのだけれど、2回目原作と比べることなく純粋な気持ちで観ると、素晴らしい作品だなと思いました。観るたびにどんどん涙が出るのが早くなっていって、もう千秋楽なんか顔面ぐちゃぐちゃでした。

 

こうして今私が宝塚を好きで、この『阿弖流為』という公演に巡り会えたことが本当に奇跡みたいなことだなと大袈裟に思えるかもしれないけれど本当に感じるし、この素晴らしい作品を礼真琴主演で、この30人のメンバーで観ることが出来たことが本当に幸せだなと思う。

 

ええ、こんな感じで絶賛阿弖流為ロスなわけですが(気付いたら阿弖流為の曲口ずさんでるし初日映像は毎日5回ぐらい見てる)(相変わらず重い)

 

全員が素晴らしすぎてひとりひとりの感想を書きたいのだけれど、多分それやってたら1週間ぐらいかかる気がするので(笑)、一先ず真ん中3人についてこの記事では書いていきたいと思う。

 

 

阿弖流為/礼真琴

初日のツイートでも大絶賛しましたけれど、うーんやっぱり、琴ちゃん素晴らしかった。

原作を読んでいる時からもう阿弖流為を琴ちゃんでイメージしながら読んでいたというのもあるけれど、もう本当に阿弖流為そのもので。蝦夷たちを先導するリーダーである阿弖流為の姿が下級生の多いこのカンパニーの真ん中に立つ琴ちゃんに重なる部分もあり、本当にハマリ役だなと。

この阿弖流為という作品は、琴ちゃんの圧倒的スター性や求心力を改めて感じさせられる作品だった。琴ちゃんの空間を支配する力、観客の心を一気に惹きつける力、周りを巻き込む力を目の当たりにした。この人が真ん中ならば間違いない、この人こそ真ん中に立つべき人であると思わされる圧倒的な実力とオーラ。琴ちゃんはあまり大柄な方ではないけれど、阿弖流為として生きる琴ちゃんはとても大きく見えて、きっと蝦夷たちにとっての阿弖流為もそういう存在だったのだろうなと思った。

 

今回、琴ちゃんが1人で舞台に立ってソロを歌う場面がなかったんですよね。全部仲間たちと一緒だったり、佳奈と一緒だったり。

今まで琴ちゃんの主演作は新公含めほとんど観てきましたが(新公ナポレオンだけ観ていない…)、琴ちゃんは実力があるから1人で舞台に立ってもちゃんと成立させることが出来る人。でも実力が抜きん出ていることによって、逆に独りよがりな舞台に見えてしまうこともあるなと思う時もあった。

けれど今回琴ちゃんが1人で舞台に立つことがほとんど無くて、ソロを歌う時もいつも周りに誰かがいて。それが大野先生の意図かどうかはわからないけれど、周りと協調するお芝居、というのを琴ちゃんが学ぶ機会だったのではないかと私は感じた。

この作品での琴ちゃんは、実力が抜きん出ていることに違いはないけれどそのことで周りから浮くことはなく、きちんと周りを巻き込んで全体を引き上げているような、そんな感じでした。もうすっかり頼もしい上級生なのだな、と(凄く上から目線ですが)思った。「舞台は1人で作ることができないと改めて実感した」と挨拶で言っていた琴ちゃん、きっとこの作品で得るものはとても大きなものだったのではないかと思う。

そういう意味でも今このタイミングで琴ちゃんが『阿弖流為』という作品の主演を務めたのはとても大きな意味があったと思うし、琴ちゃんにとって間違いなく代表作の1つになるであろう作品だと思いました。

 

あと、琴ちゃんの香り。おそらくお香だと思うのだけれど、阿弖流為が登場するたびに舞台からふんわりと漂ってくる、客席降りの時にはかなりハッキリと香る、琴ちゃん阿弖流為の香りが凄く好きでした。北の大地を感じさせる優しくて柔らかで心安らぐどこか懐かしい香り。舞台の情景を思い出すたびに一緒にその優しい香りも思い出します。とても素敵な香りだったなあ。

 

 

 

 

*佳奈/有沙瞳

 くらっちもとても良かった。

ソロが本当に素晴らしくて、佳奈の抱える心の葛藤や過去の辛い記憶がひしひしと伝わってきた。歌が上手いのはもう言うまでもないけれど、それ以上にくらっちは表現力が本当に素晴らしいと思う。くらっちのソロは2曲とも毎回号泣だった。

阿弖流為との場面での乙女全開な佳奈は本当に可愛かった!あと最後のデュエダンでの幸せそうな表情が忘れられない。純度100%の本当に幸せそうな笑顔、見ているこちらまで幸せな気持ちにさせてくれる。可愛かったなあ。

本編ラスト、田村麻呂の訪問〜阿弖流為との再会の場面のくらっちの表情が本当に切なかった…。阿弖流為に向けるあの笑顔も切なくて、これからつらいことが沢山あると思うけれど星丸と共に阿弖流為の心を継いで強く生きていってほしいと思った。

 

くらっちは強くて凛々しい女性を演じるのがとても上手いなあと思っているのだけれど、柔らかな雰囲気を出すのもとても上手いから佳奈はとてもハマリ役だったと思う。佳奈がくらっちで良かった。

 

 

坂上田村麻呂/瀬央ゆりあ

瀬央さんの大躍進っぷりが凄かった。

もう一度言います

 

瀬央さんの大躍進っぷりが凄かった!!!!

 

私スカピン始まる前くらいまでずっと「瀬央wwwwww」って感じだったのに今はもう「瀬央さん…」って感じだからほんと瀬央さん怖い。

 

田村麻呂、本当に素敵だった。私はもともと瀬央さんのあたたかくて人間味溢れるお芝居が大好きだったので、原作を読んでいる時から絶対田村麻呂は瀬央さんにピッタリだと思っていて期待しかしていなかったのですが、その期待を上回る素敵な田村麻呂だった。

まず見目麗しい。あの美しい朝廷服に負けない美しいお顔。突然白装束にズドーーーンって感じのストレートヘアになった時は少し笑ってしまいそうになりましたが(ごめん)、顔が美しいのでオッケー(何が)。そして声がいい。瀬央さんの声って本当に聴き取りやすいし耳にすっと馴染む声で、良い声だなあと思う。

 

そして何より存在感、オーラが凄かった。

瀬央さんのことは新公学年の時から注目していますが、その当時からお芝居をする相手との距離感を取るのが上手いなと思っていました。凄く相手のことを生かすお芝居をする人だなぁと。でもそれって、押し出しが弱いとも言えるんですよね。RSGでさゆみさんも言っていたけれど瀬央さんって凄く気遣いの人だと思うから、それがお芝居にも出てるのだと思います。もちろんそれは凄く良いところでもあるけれど、もっともっも自己主張しても良いのではないかと思うところもありました。

それが今回の田村麻呂という役ではとても良くなっていて。すごく堂々としていて存在感が凄かった。朝廷軍を率いて真ん中で踊る瀬央さんの姿はとても大きく見えた(琴ちゃんの時も同じこと言ってるな私…)。押し出しの強さに加えて魅せ方がとっても良くて、自信が漲っているように見えた。

今回のこの田村麻呂を観て、近い将来瀬央さんがバウホールの真ん中に立つ日が来るだろうなと思ったし、その姿を絶対観たいと思いました。

 

田村麻呂さんの好きな場面はいろいろあるけれど、私はやっぱり河内の牢の場面から本編ラストにかけてが1番好きだし見所だなあと思う。

そこまでの場面でも十分すぎるくらい泣いているのに、瀬央さんの演技が追い打ちをかけてくるんですよね…。あそこの瀬央さんの表情はほんまにダメなやつです。泣くしかない。阿弖流為、母礼との場面も、飛良手との場面も、佳奈と星丸との場面も、もう全部泣く。星丸に対する優しすぎる表情、佳奈と阿弖流為を見る笑顔、田村麻呂にとって生きていると思えた時間は本当に阿弖流為と戦っているときだけだったのだな、この人は戦いには勝利しても全てを無くしてしまったのだなと、とても辛くなります。

あたたかくて器が大きくて漢らしくて、瀬央さんにとってもピッタリな役だったなあと改めて思うし、瀬央さんが演じるからこそより素敵な田村麻呂になったのだなと思う。本当に素晴らしかった。

 

阿弖流為との一騎打ちも息ピッタリ、同期ならではの迫力で、もうまじで配役考えた人天才だな?!と。

本心としては、阿弖流為と田村麻呂の関係性をもっと深く描いてほしかったですが!うん。しょうがないか。

 

フィナーレで肩組んで頭ポンポンしたりしてるのとっても可愛くて、ことせお尊いなっておもいました。この2人の息ピッタリのお芝居が好きなので、鈴蘭や阿弖流為のような敵同士も良いけれど、タッグを組んで事件解決!みたいなそういう作品も観たい(語彙力)。上下関係のあるやつじゃなくて近い年齢の設定ね!!観たいなあ、劇団さんお願いしますね!

 

 

 

というわけで真ん中3人の阿弖流為感想でした。次は母礼について1つの記事を書くかもしれません…母礼について書きたいことが多すぎて……。

 

ひとまずここまで読んでくださった方はありがとうございました!次の記事もまた読んでくださったら嬉しいです。